桜が

どこを見ても、最近は桜がきれいですね。
多分、もう盛りの時期はすぎてるんですよね。桜の木の下には、だいたい花びらが散ってるし、風が吹くと、秒速五センチの速さで花びらが降りてくる。満開をすでに迎えて、徐々に花を落とす段階に入ってるんでしょう。
桜ほどに目を惹く花は、多分他にはないでしょうね。春という季節の性格を、そのまま抽象したような、つまり春そのものみたいな花ですからね。噴き出るように咲いていく様子は、春の自然物がもつエネルギッシュさを連想させますし、明るい桜色は、新しい生命のサイクルの始まりを思わせます。
花びらが枝から降りてくる様子、きちんと眺めたことありますか?一枚一枚が、肌にさえ感じられない微風にまで煽られ、あいまいな日の光をあちらこちらに向けて映しながら、静かに降りてくるんです。雪が降るさまに似ている、という人がいますが、そうは思えません。桜は、もっと頼りなげです。取り返しのつかなさを、強く意識させるんです。
桜は、始まりを連想させると同時に、終わりを強く暗示するものです。背反した印象を、一緒に抱えてるんです。だから、爆発的なエネルギッシュさを、我々に強く抱かせるんだと思います。